LIGHT LENS LAB M 35mm f/2は、一言で言うと、1958年発売のLeica Summicron 35mm f/2 1st 8枚玉の”クローン”レンズ。
中国人起業家の周さんによる8枚玉復活プロジェクトによるもので、その名をとって周八枚とも呼ばれています。
躯体、レンズ構成からその材質に至るまで、とことん本物同等に拘り、3年の歳月をかけて完成したこのレンズは、中国お得意のパチモンとは無縁の完成度で、ライカファンの評価も上上らしい。
まあ、中古市場で大人気?超高価のSummicron8枚玉が”新品”で廉価に購入できる、という感じでしょうか。
LIGHT LENS LAB M 35mm f/2 / Amazon
写りはとても良く、想像していたよりずっとまともで、好感の持てるものです。
オールドレンズ特有のコントラスト低、彩度低、滲み、フレア等は僅かで、適度なしっとり感を出しています。いわゆる、収差が”味”というタイプではないと思います。フレアは派手に出る時もありますが、想定内です。
解像も現代レンズのようなエッジ際立つキレッキレの高解像ではないですが、素直で滑らかな解像、4000万画素のM10-Rにも充分に対応してくれます。
この周八枚は、全体的に私の使ってるSummicron7枚玉より写りが良いです。僅かに劣る点は、絞り開放近接撮影の解像と、四隅のボケです。四隅のボケは絞っても改善されませんが、オールドレンズとして考えると、フィルムの時代ではマージンとして表に現れなかった部分かと。デジタルで気になるようなことがあっても、トリミングしてしまえば済むような僅かな領域です。
で、レンズの絶対性能としては優ってるはずの7枚玉(8枚玉より20年以上新しい設計)、8枚玉クローンに負けてちゃいかん、と、整備に出すことを決意しました。
躯体の工作精度も素晴らしく、絞りリング、フォーカスリングからレンズキャップに至るまで、寸分の狂い無く組まれてる感じで、全ての操作がとってもスムーズ、快感さえ覚えるほどです。私が所有している7枚玉より明らかに緻密な造り込みで、7枚玉の方がパチモンのように思えてきます。これは元々の8枚玉の作りがいいのかもしれませんが。
ちなみにこの周八枚は、本家を尊重し、Summicron8枚玉のレストア部品として流用されないよう、直径を1mm大きくしているとのことです。また、模倣に関する法的問題も全てクリアしているとのことです。
以下、色々撮った写真を。カメラは全てM10-Rです。